DMDAEMONの創世記 第1章

 「新たな世界の構想が出来たのじゃ!諸君、よーく聞くのじゃ!」 ゆるるさんの一声で、DMDAEMONの柱々が動き出す。 ゆるるさんが新たに生成した『メモ帳』が、DMDAEMONたちへ転送されてゆく。 『メモ帳』にはこう書かれていた。 「タイトル:一瞬クエスト ・すぐに終わるRPG ・主人公が魔王を倒してEND ・3つの街と3つのダンジョンを攻略して魔王城へ」 ‥‥とても簡素な文だが、『メモ帳』そのものに込められた魔力が、 柱々へ情報を伝達していく。 意図を全て理解したかのように、イレノダクがメインの通常戦闘曲を、 ナスタが主人公と魔王のラフスケッチを創り始めた。 「戦闘曲ノ アトハ OPトEDデ使ウ メインテーマ コレデ イメージハ 十分ダ」 「主人公は昔なじみのオーソドックスでツンツン頭の少年。  魔王もステレオタイプに寄せてツノが生えていてローブとマントを着た風貌でいいだろう。」 イレノダクとナスタが創ったイメージ曲とイメージイラストを元に、 ゆるるさんがメモ帳の情報を詳細に書き加えていく。 それを受け、ゲロバリスとセレナハトが動き出す。 「バトルシステムはゲームエンジンのデフォルト戦闘にチョイと付け足すくらいでいいじゃろう」 「しゅじのはいぼ痔がダンダナイスのようになっtいれ、いすhにわすと激痛!!1123がさじs!」 後は、世界が転がるように構築されていく。 ゲロバリスが黙々と基本システムを構築したあとは、 セレナハトが章ごとの流れを定め、その章で必要なBGMと画像をイレノダクとナスタが生成する。 セレナハトがキャラのセリフを書く。ゲロバリスがイベントを配置する。 章ごとにこれが繰り返され――、という想定を ゆるるさんが脳内でシミュレートをする。 手を動かさずにひたすらと。 ああ、世界を創るのって面倒くさいのじゃ‥‥ 「やめじゃやめじゃ!こんなゲーム、つまらないのじゃ!クソゲーなのじゃ!ゆるるさーん!!」  『一瞬クエスト』の世界が創られることはなく、残ったのは4行のテキストファイルだけだったとさ ~BAD END~ ・戻る